マルミミゾウの畑荒らし | ||
人間が利用する土地が広がるにつれ、人間とゾウが接触する機会が増えてきて、アフリカゾウのいる国ではあちこちでゾウによる畑荒らしの問題がおきています。畑の設備を壊されたり、昼間も怖くて子どもが学校に行けなかったり、ときには追い返そうとした人が殺されてしまうこともあります。また逆に農民が怒ってゾウを殺したり、執拗に畑を襲うゾウは現地政府の手で殺されることもあります。そのため、特別に強力な唐辛子を使ってゾウを畑に近づけないようにする方法などが専門家の間では研究されています。 ここオザラ国立公園でもゾウが畑にやってくると聞いていましたが専門的に調査されたことがなかったので、実情を明らかにするため1年かけてじっくり調査に取り組みました。 2004年は村から最も遠い国立公園の中にある畑に7月から9月にかけて、ゾウがやってきました。 |
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まずは畑のご紹介、畑は森を切り開いて耕作しているので、まわりは森に囲まれています。 |
キャッサバ芋、バナナ、その他野菜などの混作で、倒木も残っているし、雑草もすぐ育ちます。当然農薬など使用しません。 |
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ある日突然畑を襲撃したゾウは、バナナの木を引き裂いて食べ、キャッサバ芋も掘り出したり、歩き回って根をだめにしたりしました。 |
パイナップルも実っていなくても、葉の奥の芯の部分を食べるのか、食い散らかしてしまいました。 人気のない夜に来るため、その姿は見ることはできません。 |
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ゾウが開いた森から畑への出入り口。 |
子ゾウの足跡も残されていました。 |
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2004年はンボモ村の畑のうちゾウの被害にあったのは数にして約6%と、畑荒らしはごく一部の村人にとっての問題で、特に国立公園の内側の、村から最も遠いところの畑に限られていました。2-3年で耕作地を移していく焼畑農業なので、被害にあわないためには公園の奥のほうへ耕していかないことがまず先決です。ゾウのすむエリアを耕すことは、どうぞお食べくださいと言っているようなものです。ところが現実的には、先祖代々ここは誰それの森、と縄張りが決められているそうで、簡単に別の場所を耕すわけにいかないという事情もあるので、行政も解決に関与する必要があります。 被害にあった村人は実害だけでなく精神的にもショックを受けていました。すべて手作業で植えてきて長い間収穫を待っていた作物が奪われてしまうのですから。一方、一般の村人にとってはゾウよりも他の害獣よりも、人間−つまり泥棒のほうが深刻な問題です。パイナップルなど、しょっちゅう盗まれるので畑を放棄してしまう人もいたほどです。 |
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畑に残っている倒木でゾウが体を掻いた跡。 | ||
オザラ国立公園のマルミミゾウ マルミミゾウの畑荒らし 森の中のマルミミゾウ・・・ |